製缶板金の代表的な製品でもある、工作機械向けのフレームの基礎知識についてご紹介します。
フレームは工作機械をはじめとして、分析機器や食品機器などの産業用機械において骨格となるものです。特に工作機械には大きな加重がかかることが想定されるため、工作機械のフレームは高剛性を求めた設計が必要とされています。
製缶板金加工の場合、溶接作業による歪み発生による剛性の低下が懸念されるので、工作機械のフレームに必要となる高い剛性を確保するためにも、溶接による歪みを最小限におさえた加工を行う必要があります。
製缶板金加工の溶接変形防止・除去方法としては、以下の方法があります。
(1) 溶接変形の発生原因を取り除く、あるいは変形量が小さいような溶接条件を選定する
(2) 溶接変形をあらかじめ見込んでおき、結果として変形しないようにする
(3) 溶接箇所に変形を生じないように強く拘束する
(4) 自由に変形させた後、歪みを除去する
(1) の対策としては、フレームに対する溶接箇所を少なくする、変形剛性の大きな形材を選定するなどの溶接設計上での対策と、フレームの溶接箇所の低減、溶接入熱の低減、溶着量が少なくなるような開先の選択、変形が小さくなるような溶接材料の選択などの溶接施工上の対策があります。
(2) の対策は「逆歪法」あるいは「予歪法」とよばれるもので、事前の解析で変形量が見込める場合には溶接前に前もって逆方向の変形を与えてセットして溶接する方法です。フレームの突合せ溶接の角変形の低減などがあります。
(3) の対策はクランプや拘束ジグなどを用いて強引に変形を拘束する方法です。しかし、この方法では残留応力の拘束応力が大きくなってしまい、溶接割れが発生しやすくなるので注意が必要となります。
(4) の対策は、溶接による変形を溶接後に矯正する手法です。フレームの溶接部やその近辺を局部的に加熱させ、溶接部の変形を小さくする方法(局部加熱矯正法)や、プレスやハンマーによって機械的な力を加えて歪みを矯正する方法(機械的矯正法)などがあります。
しかし、この溶接後の歪み取り作業には熟練した技術と多大な工数が必要になり、さらに材料劣化の恐れもあるので、溶接作業の後に歪み取りを行うのではなく、溶接による歪みが発生しにくい施工法や材料の選定を用いることが大切です。
特に高い剛性の確保を求められる工作機械向けのフレームにおいては、材料劣化による剛性低下をさけるためにも歪みを最小限に抑える対策を行い、高剛性を持たせる必要があります。
製缶板金加工.comでは、工作機械のフレームに代表される高い剛性が求められる製缶板金加工製品の製作を得意としており、製缶板金の加工方法についても最適な提案を行っております。
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