製缶板金加工品の1つである、架台定盤に求められる機能としては ① 平行度 ② 強度・耐震性 ③ 安全性などがあります。架台定盤の上には装置、検査器などの重量物が乗ることになるので、その荷重に耐えられる強度が必要になると同時に、高い精度の平行度が出ていなければ、検査時に正確な値を計測することができなくなります。また、強度不足が起これば安全性の確保を行うことができません。
製缶板金加工にて架台定盤を製作する際には、強度を確保するために、角パイプにてフレームを作成し、t16.0~t22.0くらいの厚板を設置し、半自動溶接にて溶接組立を行います。板材やアングル材などの形鋼に比べて角パイプは強度出しには向いていますが、熱を加えると内側に収縮する傾向があるので設計時にその収縮を考慮しておかなければなりません。
板厚が16mmを超えるような厚板を切断するには、ターレットパンチプレスや通常のレーザー加工機では難しく、溶断にて切断加工を行います。溶断の注意点としては、バリが発生しやすい点があります。また、t16.0以上の板厚となると、黒皮材しか市場には一般的に流通していないため、溶接、塗装、メッキ処理の工程においては黒皮の処理が必要になるためミガキ材とは異なる処理工程が行われることを前提としたリードタイムの設定を行わなう必要があります。
架台定盤には平行度が求められるゆえ、図面上で面相度がRa 1.6と指示されることが多くありますが、研磨処理に多大な工数が必要になります。よほど厳しい平行度が必要な架台定盤でなければRa 3.2でも十分な機能を持たせることができる上、研磨処理の工数を圧縮しコストダウンを図ることができます。
また、平行度も100分台の要求がありますが、大型の架台定盤で100分台の平行度を出すことはとても難しい上、工数も必要になります。10分台の平行度であっても、機能上は問題がない場合は多くあるので、過剰な公差設定は再検討の必要があります。
もちろん、検査装置などを乗せる架台定盤は正確で高度な精度が必要になりますが、その要求が過剰になりすぎるとオーバースペックで製作コストを押し上げることなるので、設計には注意を行い、適切な図面指示を行うことが重要です。