製缶板金の代表的な製品でもある、フレームの材料選定の基礎知識についてご紹介します。
フレームは工作機械、分析機器、食品機械などの産業機械にとって骨格となるものですので、高い剛性を持たせなければなりません。製缶板金加工におけるフレームには、アングル(等辺山形鋼)、角パイプ、角棒、チャンネル(溝形鋼)などが使用され、材料も鉄、炭素鋼、ステンレス、アルミなどさまざまです。
製缶板金加工によってフレームを製作する場合、溶接作業を伴います。高い剛性を確保するためには、溶接作業によって発生する歪みを最小限に抑える必要がありますが、材料の特性を考慮し溶接を行うことで、溶接による歪み発生を最小限にすることが可能です。
SS材のような炭素鋼(鉄と炭素の合金)が一般的な工作機械のフレームにはよく使われますが、この場合にも、炭素鋼の材料成分を確認した上で、製品要求や製品形状に対し、最適な溶接法を選択することがポイントになります。炭素鋼も炭素の量(C量)によって、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼に分けられ、それぞれに材料特性があります。
SS材の中でも、最も使用頻度の高いSS400は低炭素鋼に分類されます。低炭素鋼は軟らかく、伸びやすく、じん性があり、一般構造用材に使用され、溶接も行いやすい材料であるとされています。そのため、フレームなどの製缶板金加工製品にもSS400などの低炭素鋼がよく使用されます。一方、炭素の含有量が多い中炭素鋼(S35CやS45C)や高炭素鋼(S55Cなど)は、もともと溶接を想定しないで設計製造されている鋼材です。溶接による急熱急冷によって、熱影響部が著しく硬化することで溶接部の伸びが少なくなってしまうことで溶接割れなどの欠陥が生じ易くなります。中炭素鋼や高炭素鋼を溶接する場合には、できるだけゆっくりした冷却速度となるように、溶接前の予熱や、溶接後の後熱、溶接中の溶接部の温度管理に十分な注意が必要となります。
また、製品の使用環境下によってはステンレス製フレームの場合もあります。ステンレスの場合、素材の加工性、溶接性が良いオーステナイト系ステンレス(SUS304など)が一般的に使用される傾向があります。しかし、オーステナイト系ステンレスは塩素や海水に対する耐食性が低いので、耐食性を求める場合にはSS430のようなフェライト系ステンレスを使用します。しかし、フェライト系ステンレスは溶接加工を行うと材料がもろくなる性質があるので、溶接幅の狭い溶接を行うなどの工夫が必要です。
このように、製品が使用される環境やその材料の特性を考慮した上で、材料の選定を行う必要があります。特に、機械の骨格となるフレームにとって最適な材料選定は、製作コストや納期だけではなく、機械の安全面、メンテナンス面、長寿命化などの条件も含めて検討すべきものであると言えます。
製缶板金加工.comでは、フレームに代表される製缶板金加工製品の製作を得意としており、製缶板金の材料選定の段階から最適な提案を行っております。
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