製缶板金の代表的な製品で当社の主力商品でもあるオイルパンの「水漏れ対策・溶接接合部の仕上げ」に関する基礎知識についてご紹介します。
オイルパンとは?
オイルパンとは、車のエンジンオイルや工作機械・産業機械で使用されるオイルやクーラント液の流出を防ぎ、オイルが一定量になるまでせき止める(回収する)機能を持つ、機械要素の1つです。当社は主に、工作機械・産業機械といった設備に使用されるオイルパンの製作を得意としております。
オイルパンに溜まったオイルはオイルポンプやトイ溝などから排出され、工作機械・産業機械のあらゆるところに行き渡り、再びオイルパンや別のオイルパンに流れていきます。また、工作機械・産業機械が大型になればなるほど、流れるオイルの量も増えるため、連動してオイルパンのサイズ(寸法)も大きくなります。
オイルパンの水漏れ・オイル漏れ対策
このようなオイルパンの機能上、オイルパンを加工する際に、最も注意するべきポイントは「水漏れ・オイル漏れ」です。オイルパンは基本的にオイルが循環する工作機械・産業機械で使用されるため、オイルパンで水漏れ・オイル漏れが発生してしまうと、オイルが循環できなくなり、機械や設備が故障してしまいます。そのため、オイルパンを製作する際には水漏れ・オイル漏れ対策に最も力を入れる必要があります。
オイルパンの具体的な水漏れ・オイル漏れ対策として以下のような方法があります。
- 1.オイルパンの外周部を構成する接合部は、断続溶接やスポット溶接ではなく全て全周溶接を行って隙間をなくすことで水漏れ・オイル漏れを防止できます。
- 2.オイルパンの展開は、溶接箇所を少なくして、できる限り曲げ加工にて形状を作れるようにすることで、水漏れ・オイル漏れを防止できます。
- 3.オイルパンのナット部からの水漏れ・オイル漏れがないように袋ナットを使用して、袋ナット周辺にコーキング材・シールを使用することで、水漏れ・オイル漏れを防止できます。
- 4.全周溶接を行なったオイルパンの外周部の溶接接合部(溶接ビード)は削って仕上げをすると、水漏れ・オイル漏れに対する信頼性が低くなります。そのため、溶接接合部(溶接ビード)は削り仕上げを行なわないことが水漏れ・オイル漏れの防止策になります。また、全周溶接によってできた溶接接合部(溶接ビード)の仕上げを行なわないことで、仕上げ工程が削減できるのでコストダウンにもつながります。
このように、オイルパンの水漏れ・オイル漏れ対策には様々なものがあり、「オイルパンの仕様やオイルパンが使用される環境、材料の特性」を考慮した上で、水漏れ・オイル漏れを行う必要があります。また、同時に、「溶接接合部(溶接ビード)の仕上げを行なわない」といったコストダウンにつながる提案も日々行なっています。
オイルパンの製作事例
製缶板金加工.comが過去に製作したオイルパンをご紹介します。
① 大型オイルパン
本製品は、工作機械のマシンカバーを取り付けるための板金加工にて製作しました大型のオイルパンです。水漏れ対策としまして、鋼板材の接合部は全周溶接を行っています。
②ステンレス製オイルパン
こちらは工作機械の部品として使用される板金加工品のもので、オイルパンの役割を担っています。写真にあるように波型の形状を作っている点に特徴があり、当社にてR曲げ加工を行い、その二つの板を溶接することで形状を作っています。
③工作機械のオイルパン
工作機械向けのオイルパンです。工作機械1台に対して、1台ずつ付く為、量産ものとなりやすく、当社ではこの様なロット品に対しても品質のばらつき無く製造を行うことが可能となっています。
④簡易型オイルパン
こちらは簡易型のオイルパンです。オイル漏れは絶対NGのため、すべての接合部は全周溶接となっておりますが、製品が溶接熱で歪まないよう注意が必要です。本製品を溶接する際、弊社で作った補強材で固定することにより、溶接熱による歪み、変形の修正を最小限に抑えています。
オイルパンの特注製作なら、製缶板金加工.comにお任せ!
製缶板金加工.comでは、オイルパンに代表される製缶板金加工製品の製作を得意としており、製缶板金の材料選定の段階から最適な提案を行っております。
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