製缶板金加工のバーリング加工は曲げ端面に近い位置に加工されると、抜き加工時に機械にて成型加工・タップ加工をおこなったタップ穴は曲げ加工時に曲げの上金型に若干押しつぶされて穴が変形する為、曲げ加工後にタップを再度手作業にてタップ加工する必要があります。設計者には再加工(2次加工)を防止する為に、バーリング加工位置が曲げ端面からどれだけ離れていなければならないかを知っていなければ、コストダウンした製品の図面を作成したつもりが、2次加工が発生しコストアップとなる図面の作成につながります。
下記の写真はM6タップのバーリング加工と曲げ端面の加工事例と位置寸法を表示しました。
※曲げ金型(上形)は標準の先端が88°のものを使用し、上金型に向けて曲げ加工をしています
写真のM6ボルトが途中までしか入っていないのは曲げ加工時に曲げ上金型でバーリング加工穴を押しつぶしたためにタップ穴が変形したためです。『 曲げ端面とバーリング加工の関係寸法 』の写真を見ていただくと分かりますが、曲げ端面からタップ穴センターまで16mmでは曲げ加工をするとタップ穴は変形しています。曲げ端面からタップ穴センターまで16.5mmであればタップ穴は変形せずにボルトを入れることができます。たった0.5mmですが、この0.5mmでコストダウンとなるか、コストアップになるかの違いになります。以上のことから、製缶板金加工.comの設計ではM6タップのバーリング加工の位置寸法は誤差を考慮して、曲げ端面からバーリング加工センターまで18mm以上と決まっております。
製缶板金加工.comでは見積の依頼をいただいたときに基礎知識をもとにナット溶接が指示されていた時には、VA案としてバーリン加工の可否を確認させて頂くことがあります。ナット溶接は人による加工であり、バーリング加工は機械による加工のため、人による作業工数削減が一番のVA案と考えております。
タップ穴サイズや加工の板厚、製品の大きさ、バーリングの方向などで曲げ端面とバーリング加工の関係寸法は変化します。
詳細につきましては製缶板金加工.comにお気軽にご相談ください。